ICT・IoTで福祉は変わる
日本は「高齢者比率1位」として世界から注目されています。もちろん長生きできることは素晴らしいことです。しかし、高齢者を支える介護職員の人手不足は年々深刻化しています。国は「外国人労働者の受け入れ」や「特定処遇改善」などの施策を実施するなど頑張ってはいるものの、深刻な人手不足に対する決定打にはなっていません。むしろ、皮肉なことに介護福祉士やケアマネの受験者数も年々減っているという有様です。
だからこそ「介護×ICT」が注目されているものの・・・
いまのトレンドはICTツールを積極的に活用し、「限られた人員で最大の結果を得る」ということです。昨今ではITに少し疎い介護職員でも「介護記録の電子化」や「ベッドセンサー」といったキーワードを口にするようになったと感じます。それは、国やベンダーが頑張ってPRし続けた結果とも言えますし、介護職員自身が「危機感」を持つようになったからだと思います。しかし、GiverLinkが503法人に調査した結果、ICTが普及していない現状と大きな課題が見えてきました。
あまりにICT化への反対派が多すぎる
調査の結果、「ICT化に反対する職員が事業所内に2割以上いる」と回答したのは59.1%(293法人)でした。つまり、約6割の法人で、介護職員が100人いたら20人以上がICT化に反対するということです。ちなみに、同調査では47.9%(236法人)が「介護記録の電子化」ができていないことも分かっています。まだまだ紙で介護記録を作成している事業所が多いということです。
いま必要なのは精通した知識を持つ「第三者機関」
少し違った観点から次のようなアンケートもとってみました。
想像で回答をお願いいたします。別法人の現場管理者が、介護ソフトの導入を検討しているとします。記録のICT化を進めるにあたり、一つだけアドバイスするとしたら次のどれに当てはまりますか?
実は、最も多かった回答が「職員の意識改革」でした。パソコンを潤沢に増やすことでもなく、こまめに勉強会をすることでもなく、「職員の意識改革」が最多の回答でした。この結果を受けて、わたしたちGiverLinkは「職員の意識改革」を優先すべきだと捉えています。そして、ベンダーでも介護職員でもない、第三者機関の私達だからこそ「職員の意識改革」のお手伝いができると考えています。
第三者機関だからこそ、中立的な立場で伝えられる
ベンダーの存在は「介護×ICT」のためには必要不可欠です。私自身、介護ソフトメーカーに勤めていた頃は、「多くの介護職員の力になれる」と、誇りをもって仕事をすることができました。しかし、ベンダーが介護職員に提案できるツールは基本的に「1つ」です。私も営業だったのでよく分かりますが、営業マンはたった「1つ」の自社ツールを信じ、お客様(介護職員)になんとか買ってもらえるように頑張っています。そんな私も過去には売上トップを獲得したこともありますが、内心では(このお客様には他社ソフトの◯◯がベストかもしれない・・・)と葛藤しながら提案したことは鮮明に覚えています。本当に相手の業務改善を考えるのであれば、この提案内容は最適解なんだろうか・・・と。ただ、これはベンダーに勤めている以上、どうしようもないことです。だからこそ、ベンダーでもない、介護職員でもない、第三者機関としてICTツールのマッチングができる場として「介護のコミミ」を立ち上げました。
介護のコミミの役割は「介護×ICT」の窓口
介護のコミミは「介護×ICT」のメディアです。ありがたいことにオープン3ヶ月で1万人以上の介護職員にアクセスされるほど注目を集めています。また、数十社のICTベンダーにもご協力いただき、メディア上で介護職員とベンダーをつなげることができています。最近感動したのは下の画像のように、介護職員の「辛辣な口コミ」に対し、真摯に回答するベンダーの姿でした。これこそ私達が目指している1つの形です。介護職員は「本音」でベンダー側を評価し、ベンダー側は例え辛口評価だとしても真摯に対応していくことで、製品のブラッシュアップにつなげることができます。
第三者機関として、介護職員もベンダーも大切する
ICTツールを導入する上で大切なのは、事業所とICTツールのマッチングです。日本には本当に素晴らしいツールがたくさんありますが、ほとんどの介護職員は最適なICTツールを知らないまま、「なんとなく選ぶ」ことが多いと感じています。また、「結局どんなICTツールがいいのか分からない」「そもそもICTツールで何が改善するの?」という方も多いため、わたしたちが第三者機関として中立的に案内できればと考えています。また、介護業界を支えるベンダーを誰よりも応援し続ける存在でいたいと心から想っています。